COMSOL Multiphysicsを用いた 真空中の粉体誘電率測定に適した空洞共振器構成の検討
月面の低圧環境を模擬した真空条件下において、粉体試料の誘電率測定に適した空洞共振器の構成を検討するため、COMSOL Multiphysics®のRF Moduleを用いた電磁界シミュレーションを行った。
我々は、月面環境を模擬した真空条件下において模擬月面土壌試料の誘電率を測定することを目的としている。粉体材料の誘電率は、試料中の空気の割合を表す空隙率に強く依存する。一方、月面は極めて低圧な環境であるため、試料の空隙率は地上環境とは異なる可能性がある。そのため現在、真空チャンバー内で空洞共振器法による誘電率測定を計画している。
空洞共振器法は、摂動理論に基づき、試料挿入による共振周波数のシフトから誘電率を求める手法であり、誘電率が比較的低い模擬月面土壌試料の測定に適している。しかし、本手法は測定中に試料体積が一定であることを前提としているため、真空環境下で空隙率が変化して試料体積が変化した場合には、摂動理論との誤差が生じる可能性がある。
そこでCOMSOL MultiphysicsのRF Moduleを用いて空洞共振器のSパラメータ解析を行った。空隙率の変化に伴う試料体積および誘電率をモデル上で変化させ、各条件におけるSパラメータから共振周波数を算出し、そのシフトを評価した。解析では、試料投入口を密閉する構成と、開放したまま測定し解析時に補正を行う構成の2種類について比較した。
その結果、試料投入口を開放した構成では、摂動理論との一致が良く、空隙率変化に対する検出感度も高いことが分かった。一方、密閉構成では、摂動理論との誤差が増加した。これは、試料体積の変化によって共振電場の対称性が乱れたことによるものと考えられる。また密閉構成では、試料体積の減少と誘電率の増加が共振周波数に互いに逆方向の影響を及ぼすため、検出感度が低下することが確認された。
以上より、真空中で粉体試料の誘電率を測定する際には、試料投入口を開放した構成が、摂動理論との整合性および測定感度の両面で優れた測定構成であることが示された。
Download
- 20260902_COMSOLカンファレンスポスター.pptx - 4.23MB
