汎用FEMによる転がりすべり接触での摩耗予測シミュレーションに関する研究

井本 浩暉1, 李 炅耆1, 笹井 遥1, 劉 暁旭1, 前川 覚1, 糸魚川 文広1
1名古屋工業大学,〒466-8555 名古屋市昭和区御器所町
Published in 2026

 機械要素の高効率化や高耐久化が求められる背景において,転がりすべり接触下で使用される歯車等の高精度な摩耗寿命予測シミュレーション技術の開発が極めて重要となっている.しかし,摩耗現象は噛み合い位置に応じた接触圧力の変化やすべり速度の不均一性,さらに摩耗進展に伴う歯面形状の変化が相互に影響し合う強非線形問題であり,従来の単一の構造解析で連続的な形状変化を追従することは困難であった.そこで本研究では,接触状態と摩耗による形状変化を逐次的に考慮可能な数値解析モデルの構築を目的とした.  本研究では,COMSOL Multiphysicsの固体力学モジュールにおける固体接触解析機能を活用し,2次元の平歯車ペア接触解析モデルを構築した.離散回転角度ごとにCOMSOL上で固体接触解析を実行し,噛み合い位置における接触圧力分布および相対すべり速度を算出した.そこからArchardの摩耗式に基づいて各節点の摩耗深さを計算し,節点座標を法線方向に移動させて歯面ジオメトリを自動再構築する逐一摩耗解析スキームを構築した.更新した形状を用いて再びCOMSOLで接触解析を行い,形状変化に伴う接触応力の再分配を評価した.摩耗量の計算まではCOMSOL内で行い,摩耗量の反映にはLiveLink for MATLABによりMATLABを用いて計算結果として得られた摩耗をしゅう動面に反映させている.  本手法により,転がりすべり接触における摩耗進展を評価する基礎手法を確立した.今後は本解析手法を3次元モデルへと拡張し,より複雑な歯面接触状態や実機形状における摩耗進展評価へ展開する.

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